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はじめに
人工膝関節置換術(TKA)において、術前計画の重要性は周知の事実である。
従来の単純X線での術前計画では限界があり正確性に欠ける。
最近ではNavigation・Robot systemが用いられているが、利用できる施設は限定され、systemを使いこなすのにかなりの経験を要する。
簡便でどの施設でも行える正確な術前計画が必要?!
目的
人工関節置換術(TKA)において、3D術前計画ソフトウェア(ZedKnee)を用いて手術を行い、その有用性と今後の課題、臨床応用について検討した。
対象
- 2010年2月~2011年5月にTKAを施行した115膝(79例) (女性103膝、男性12膝)
- 平均年齢: 76.3歳
- 平均手術時間: 83分 (64分~110分)
- 仕様機種: Zimmer Nexgen LPS Flex: 115膝 / CR Flex: 5膝
方法 (ZedKneeの術前計画)
3D術前計画ソフト(ZedKnee)にCTデータを取り込み。
⇒大腿骨、脛骨ともにそれぞれの参照点をデジタイズする。 ⇒自動セグメンテーションして3D骨モデルを作成する。 |
3D骨モデルを作成後
⇒大腿骨コンポーネント
⇒脛骨コンポーネントをデジタル設置する。
⇒シミュレーションの実施
コンポーネントに適合したインサートを選択⇒骨切りレベルを確認
この時、シミュレーション前後で算出できるパラメータを表示できる。
評価項目
術前計画の評価
・術前、術後のインプランテーションの比較
(各使用インプラントサイズの一致率)
・大腿骨回旋角度
術中の臨床応用(解剖学的指標の抽出)
・大腿骨髄内ロッド挿入点
・脛骨髄外ガイドのスパイク刺入点
インプラント設置制度評価
・イメージマッチングソフト使用
手術時の解剖学的指標点
3D計測機能にて各刺入点を描出し、手術時の指標として術中に確認。
[大腿骨髄内ロッド刺入ポイント] | [脛骨髄外ガイドスパイク刺入点] |
結果1
術前計画サイズと術後インプラントサイズの差異
・大腿骨コンポーネント⇒107膝 / 115膝: 93.0%の一致率
・脛骨コンポーネント ⇒ 94膝 / 115膝: 80.9%の一致率
・インサート ⇒102膝 / 115膝: 88.6%の一致率
結果2
インプラント設置精度評価 (術後評価ソフトでの評価: 11膝)
大腿骨イメージマッチングの詳細
術前 | 術後 | 平均誤差 | |
---|---|---|---|
外反角度 | 6.29° | 5.99° | 0.3° |
回旋角度 | 5.18° | 5.67° | 0.49° |
遠位内側 | 8.32mm | 7.42mm | 0.9mm |
遠位外側 | 8.22mm | 7.42mm | 0.9mm |
内側後顆 | 15.39mm | 13.17mm | 2.22mm |
外側後顆 | 11.39mm | 8.97mm | 2.42mm |
脛骨イメージマッチングの詳細
術前 | 術後 | 平均誤差 | |
---|---|---|---|
外反角度 | 6.29° | 5.99° | 0.3° |
回旋角度 | 5.18° | 5.67° | 0.49° |
遠位内側 | 8.32mm | 7.42mm | 0.9mm |
遠位外側 | 8.22mm | 7.42mm | 0.9mm |
内側後顆 | 15.39mm | 13.17mm | 2.22mm |
外側後顆 | 11.39mm | 8.97mm | 2.42mm |
結果3
大腿骨回旋設置角度(TEAとPCAの角度): 平均6.19°
ZedKneeの有用性と今後の課題
大腿骨側
外反角度、回旋角度が正確に検出でき、術中に参照できる解剖学的指標を見つけやすく殆どが一致していた。
↓
改良点不要?!
脛骨側(インサート含め)
術前に軟部組織バランスの評価が困難であり、至的な骨切り位置、後傾を決めるデータに乏しい。
術中に参照できる解剖学的指標には個人差があり再現性に乏しい。
計画通りのサイズ選択が困難であった。
↓
術前計画の工夫やソフトの改良が必要か?
その他の利点
- ZedKneeは、ラップトップPCで持ち運びが容易であり利便性に優れている。
- 僻地や遠方の施設の手術時にも、CTデータさえあればどこでもすぐにプランニング可。
- 3D計測を利用して各自の術中指標を描出でき、自由にカスタマイズできる。
例)脛骨機能軸と腓骨軸の比較
結語
3D術前計画ソフト(ZedKnee)は、正確な荷重軸、機能軸が再現でき、大腿骨遠位の外反角度、外旋角度の設定が容易、大腿骨髄内ドリルの刺入点、脛骨髄外ガイドの設置位置の決定や、回旋位置においても非常に有用であった。
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